メタン(CH4)は,天然ガス,都市ガスなどの主成分としてポピュラーなガス燃料で,石油由来の液体燃料と比してCO2排出原単位が低く,積極利用の機運が高くなっています.下記の化学式が示すように,今ややっかいものとなっている二酸化炭素と次世代燃料と期待されている水素から製造可能で,合成燃料の一種として知られています.CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)由来の二酸化炭素と再生可能エネルギ由来の水素から製造すれば,カーボンニュートラル合成燃料,すなわちe-fuelと呼ばれ,リーズナブルなメタン合成の技術はいっそうの発展が期待されています.本ページでは,メタンの合成技術であるメタネーションの概要と動向を説明します.
CO2 + 4H2 → CH4 + 2H2O
このメタン合成がメタネーションと呼ばれ,様々な実証事業が進められています.上記の化学反応は古くから実現されていますが,化学反応をリーズナブルに進める触媒がキー技術で,合成燃料としての社会実装には,製造装置の低コスト化や省エネ製造法などが課題になっています.
【参考文献】東京ガスよりメタネーション装置を受注(日立造船):https://www.hitachizosen.co.jp/newsroom/news/release/2021/20210707_001114.html
【参考文献】世界初「ゴミ処理場CO2活用のメタネーション」、日立造船が実用化へ(ニュースイッチ):https://newswitch.jp/p/32556
【参考文献】INPEXのCO2-メタネーション技術について(経済産業省メタネーション推進官民協議会):https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/methanation_suishin/pdf/001_07_00.pdf
【参考文献】鎌田,二酸化炭素(CO2)の再資源化に向けた触媒技術,IHI 技報,Vol.59,No.1 ( 2019 ).:https://www.ihi.co.jp/ihi/technology/pdf/268585c8fa44ebc905ecfc91b5087e26.pdf
【参考文献】小河ら,メタン・二酸化炭素・水素のための触媒,化学と教育,Vol.66,No.2 (2018).:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/66/2/66_68/_pdf
メタネーション技術は,いわゆるCCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)の一種で,CCSと組み合わせたCCUSが期待されていますが,例えば,コジェネレーションなどのガス炊きのエネルギ機器にこのCCUSをインストールしようとすればCCUSの設備規模がもとのガス炊きエネルギ機器の数倍となりえ,経済合理性はもとより,CCUS運転に必要なエネルギの合理性にも課題山積です.様々な実証に基づく技術の淘汰および選別が必然と考えられる一方で,炭素税などのGHG排出に応じたペナルティなくしてはメタネーションの経済的自立は遠いようです.
【参考文献】デンソー、安城製作所電動開発センターでCO₂循環プラントの実証実験を開始(デンソーHP):https://www.denso.com/jp/ja/news/newsroom/2021/20210407-01/
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