オフロードモビリティを想定した燃料電池

技術

2022年3月16日から18日まで,東京ビッグサイトで開催されたFC EXPOでは,燃料電池および水素エネルギ関連の様々な機器やサービスが展示され,昨年度のFC EXPOにも展示があったトヨタ自動車製および豊田自動織機製の燃料電池に加え,本田技研工業製の外販向け燃料電池パッケージが展示されました.COVID-19禍でしたが海外勢もドイツEKPO製燃料電池の展示があるなど,オフロードモビリティ分野の燃料電池パワーソースが社会実装に近づいている印象です.また,昨年度に引き続き,IHIから燃料電池向けの過給システムの展示があり,高い出力密度が求められるヘビーデューティビークル:HDVの燃料電池では,乗用車用の流用ではなく,比較的高い作動圧を想定した過給FCの登場も予見されます.

時を同じくし,2022年3月18日にNEDOが技術開発ロードマップ(HDV用燃料電池),技術開発ロードマップ解説書(HDV用燃料電池)を発表しました.これまでにNEDOは,2010年にNEDO燃料電池・水素技術開発ロードマップ2010,2017年に技術開発ロードマップ(家庭用燃料電池),技術開発ロードマップ(業務・産業用燃料電池),技術開発ロードマップ(FCV・移動体),技術開発ロードマップ解説書(燃料電池分野)を発表してきましたが,ここにきてHDV用燃料電池の番となったようです.本ページでは,社会実装への検討が進むオフロードモビリティの燃料電池の動向を紹介します.

【参考文献】NEDO燃料電池・水素技術開発ロードマップ(NEDO):https://www.nedo.go.jp/library/battery_hydrogen.html

技術開発ロードマップ(HDV用燃料電池)では,HDVを大型トラック,鉄道,船舶,建設機械(油圧ショベル),農業用機械(トラクタ),産業用機械(フォークリフト)と定義し,各用途で要求される最大出力,耐久時間,冷却性能,搭載スペース,重量などの仕様をまとめています.とりわけTCO:Total Cost of Ownershipの見通しを記述しており,技術的成立性に加え,経済的成立性を検討している点が,乗用車と比較して趣味性の低いオフロードモビリティの燃料電池パワーソースの社会実装見通すうえで有意義な情報と感じます.また,水素エンジンやLiBでの電動パワートレインとの比較検討もオフロードモビリティの脱炭素化に向けて有意義な情報となっています.

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