製品のGHG排出量の算出

技術

GHGのサプライチェーン排出量を求める際には,GHGプロトコルScope 3-11,すなわち自社製品から排出されるGHGの把握が必要ですが,自社製品のエネルギ使用量が変数となります.本ページでは,自社製品のエネルギ使用量を求める際に必要な製品のライフタイムや平均負荷率などにかかわる情報を示します.

まず,GHGのサプライチェーン排出量の計算では,代表値による推定が認められています.例えば,製品をいくつかの製品群に分類,各製品群のなかで代表製品を選定し、その生涯排出量を推計後,製品群に該当する製品が全て代表製品であるものと仮定して推計できます.ただ,代表製品を恣意的に選定し,排出量を操作することを避けるため,算定根拠を明示するなどの対応が求められます.

【参考文献】サプライチェーン排出量算定におけるよくある質問と回答集(環境省):https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/QandA_202103.pdf

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ライフタイム

ライフタイムや製品の使われ方などの製品シナリオは,メーカーが製品仕様から設定することができることになっています.ただし,恣意的なシナリオ策定を避けるために,製品シナリオの報告が必要とされています.上記参考文献での乗用車の例では,10万km/10年などのメーカー保証期間を製品のライフタイムとしたシナリオが例示されています.

単位あたりの燃料消費量および電力消費量

上記のライフタイムに単位あたりの燃料消費量あるいは電力消費量を乗じれば,製品の燃料消費量あるいは電力消費量が求められます.先の乗用車の例では,単位あたりの燃料消費量にカタログ燃費25km/Lの逆数を採用しており,ライフタイム10万kmに乗じれば,燃料消費量4,000Lが求められます.この例ではICEVが想定されていますが,BEVでは電費(km/kWh)が用いられ,電力消費量(kWh)が求められます.

走行を主な製品機能とする乗用車両では,上記のとおり走行距離(km)を単位に代表できますが,製品機能が掘削,耕うん,廃土など多様なオフロード車両では,製品のパワーソースの仕事量(kWh)を単位とする必要があります.したがって,ICEVでは,BSFC:正味燃料消費率(g/kWh)に製品カタログの定格出力(kW)を乗じて定格出力時の燃料消費量(g/h)を求め,さらに平均負荷率(%)を乗じることで,実作業時の燃料消費量(g/h)を求めることができます.この実作業時の燃料消費量 (g/h) にライフタイム(h)を乗じれば,製品の燃料消費量(g) が求められます.なお,BEVでは単に電気モーターの定格出力(kW)に平均負荷率(%)とライフタイム(h)を乗じれば,製品の電力使用量(kWh)が求められます.

ここで,主なオフロード車両の平均負荷率を紹介します.下記参考文献のP7に建設機械,農業機械,産業機械などオフロード車両の稼動時平均出力と定格出力が記述されており,これらから平均負荷率が求められます.

【参考文献】令和元年度 届出外排出量の推計方法等に係わる資料(経済産業省):https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/prtr/r1kohyo/05todokedegaiyou/syousai/13.pdf

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