燃料アンモニア

動向

アンモニアは炭素原子を含まぬ物質で,燃焼時にCO2を排出しないため,カーボンニュートラル社会での燃料として積極的な利用が期待されています.本ページでは,燃料としてのアンモニアの概要と動向を説明します.

アンモニアの製造方法は次の図のとおり,水素を材料としたハーバーボッシュ法が広く知られています.水素から製造されることから,化石燃料由来および再生可能エネルギ由来に大別でき,現在広く社会流通している肥料用途のアンモニアは化石燃料由来です.20℃では0.86 MPa,常圧では-33℃で液化するため,水素と比較して燃料としての貯蔵がリーズナブルです.また,この液化の条件はLPGに近く,LPGのインフラが応用できるようです.

燃料アンモニア導入官民協議会,燃料アンモニア導入官民協議会中間取りまとめ,(2021),P4.

次の表は,CCSを前提に天然ガスから製造した水素/アンモニア,すなわちブルー水素/ブルーアンモニアのコストを示しています.アンモニアは水素を材料に製造されるため,製造コストは水素と比較して高価になっています.しかしながら,上記のとおり,貯蔵や輸送がリーズナブルなアンモニアは,調達コストを考慮したオーバーオールで比較すると水素よりも安価です.

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ammonia_01.html

サプライチェーンやコストなどで水素よりも燃料としての合理性が高いものの,燃焼技術,急性毒性への対処が課題となっており解決が急がれています.とりわけ,大量の燃料を必要とするファシリティ分野,例えば火力発電所や工業炉や,大型船舶分野などでの社会実装の機運が高まっています.

【参考文献】燃料アンモニア導入官民協議会中間取りまとめ(経済産業省):https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/nenryo_anmonia/20200208_report.html

【参考文献】アンモニアが“燃料”になる?!(前編)~身近だけど実は知らないアンモニアの利用先(資源エネルギー庁):https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ammonia_01.html

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