2021年06月18日に経済産業省のニュースリリースにて2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略の更新が公表されました.本ページでは更新点を中心に,2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略の概要を説明します.
【参考資料】2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(内閣官房):20210618005-3.pdf (meti.go.jp)
グリーン成長戦略は,カーボンニュートラル社会の実現に資するあらゆる手段が網羅的に記述されているわけではなく,我が国の産業競争力の成長が期待できる分野が記述されています.成長が期待される産業分野の数は,2020年12月25日に公表されたグリーン成長戦略と変化なく14分野ですが,次世代熱エネルギ分野が追加され,水素産業とアンモニア産業が同一分野に集約されています.
新設の次世代熱エネルギ分野では,電化では実現困難な熱需要に対応するため,メタネーションの社会実装とLNGの利用拡大が期待されています.ここで,LNGは化石燃料ですのでCO2を排出しますが,クレジットでオフセットされたLNGが想定されており,CO2排出を是としています.オフセットの具体的手段には言及されていないため,実質,CO2排出量をLNG使用時以下できない旨が記述されているに過ぎず,成長戦略の性質との乖離しているようです.様々な産業分野が実現困難な脱炭素化に挑戦するなか,このようなオフセットを前提とするCO2排出を是とするならば,他の産業分野の同調が危惧されます.
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