CO2バリューチェーンを実現する基盤技術/周辺技術

技術

石炭,石油,天然ガスなどの形態で地中に固定されていた炭素が,産業革命をトリガにして地表に放出されてきましたが,上昇し続ける大気中のCO2濃度の抑制には炭素の再固定が必要です.再固定先は植物,海水,地中などがあり様々な再固定が試みられていますが,人の経済活動の中への固定も試みられています.例えば,炭化水素燃料の燃焼で生じる排気からCO2を分離回収し,そのCO2から何らかの資源に加工する,いわゆるCCUSと言われるバリューチェーンです.ここでは,CCUSのキーテクノロジであるCO2の分離回収:CCSおよびCO2の物質変換および利活用:CCUを支える基盤技術や周辺技術を説明します.

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①ガスの浄化

ガソリン,軽油をはじめとする炭化水素系の物質を燃料とする内燃機関やごみ処理施設の燃焼炉などでは,燃焼で生じるCO2が排気に含まれますが,粒子状物質:PM,窒素酸化物:NOx,硫黄酸化物:SOx,水蒸気なども混入しています.排気ガスからCO2を選択的に分離回収するには,アミン,ゼオライト,金属有機構造体:MOFなどの様々な化学物質をCO2と反応あるいは吸着させるプロセスを設けますが,PM,NOx,SOx,水蒸気によるCO2分離回収プロセスの阻害に対処せねばなりません.典型的にはCO2分離回収プロセスの前段に,DPF,SCR,スクラバなど,内燃機関や燃焼炉の排気浄化と同様の対処がなされています.また,燃焼を伴わないケースであっても,CO2分離回収プロセスを阻害する物質を含むガスでは浄化プロセスが必要になります.

【参考文献】DPF(日本ガイシ):https://www.ngk.co.jp/product/dpf.html

【参考文献】SCR(Motor Fan TECH):https://car.motor-fan.jp/tech/10013496

【参考文献】スクラバー(協立製作所):https://www.kyoritsu-yes.co.jp/product/kougai/

②ガスの反応促進

ガス成分を化学反応で改質するには,反応プロセスに応じた圧力や温度を作用させる必要があります.例えば,CO2をCH4:メタンに改質するプロセス,いわゆるメタネーションでは,サバティエ反応が利用されますが,反応にはある程度の圧力/温度が必要です.また,常圧/常温以上を作用させるにはエネルギが必要ですが,より低い圧力/温度で反応を促進させるために触媒が重要な技術となります.

【参考文献】CO2分離・回収技術の概要と新たな展開(RITE TODAY 2020):https://www.rite.or.jp/results/today/pdf/RT2020_tokushu_j.pdf

【参考文献】メタン化触媒(触媒学会工業触媒研究会,Industrial Catalyst News,No.150 (2019).):https://catsj.jp/wp/wp-content/uploads/2021/01/4cf015a03e68323a2382187a9b982ffc.pdf

③ガスの貯蔵

分離回収したCO2や改質されたCH4は,オンサイトで消費しない限り貯蔵が必要となります.密度が低いガスはかさばるため,高圧での圧縮,低温での液化,化学反応での改質などで高密度貯蔵する必要があり,できるだけ低いエネルギで高密度貯蔵する技術の開発が進んでいます.

【参考文献】液化炭酸ガス(エア・ウォーター炭酸):https://www.awci.co.jp/library/process.html

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